300年以上受け継がれる伝統工芸
岩出山地域に古くから伝わる「しの竹細工」。
身近な山に生えている“しの竹”を編んでつくる、100%手作りの工芸品です。
その歴史は古く、始まりは江戸時代。
岩出山第4代城主・伊達村泰公が京都から竹細工職人を招き、
武士の手仕事として奨励したのが始まりだと言われています。
以来、農家の冬の内職として定着し、
300年以上受け継がれている「しの竹細工」。
その魅力を知るべく、
JR有備館駅から歩くこと8分、「大崎市竹工芸館」にやってきました。
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古都の趣を感じる、南町商店街沿いにあります。
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静かな佇まいに、ふさふさと育つ竹が目印です。
丁寧につくられた、美しい竹細工
広々とした空間で、まず目に付いたのが、
竹細工指導員さんが黙々と作品作りに励む姿。
「パチッ、パチッ」と竹を切る作業音が館内に響き渡ります。
職人の仕事ぶりを間近で
見ることが出来るのは、竹工芸館ならでは。
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竹細工指導員さんの作業場。実際に竹細工の製作・実演を見学することもできます。
こちらで作られた竹製品は、購入することもできます。
柔軟で弾力がある”しの竹”を、丁寧に編み上げた竹ざるや竹籠は、
素朴な美しさと味わいがあります。
手馴染みも抜群で、水はけも良く、機能的に優れているのも特徴的です。
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一つ一つ丁寧につくられた、暮らしの道具たち。
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竹や陶器などを組み合わせたオブジェ・インテリアなども展示されています。
美しい作品の数々にうっとり。
大崎市竹工芸館では、竹とんぼや一輪挿しなどの
竹細工づくりの体験もできます。
ぜひとも作ってみたい!
でも、手先が不器用な私にもできるかな?
「丁寧に指導するので大丈夫ですよ」と
声をかけてくださったのは、竹細工指導員の千葉文夫さん。
指導員歴45年の大ベテランです。
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生まれも育ちも大崎市の千葉さん。優しく丁寧に指導してくれます。
竹に触れて、素材の有り難みを知る
用意していただいたのは、竹を割って剥ぎ取った”ヘゲ”と呼ばれるもの。
こちらを編んで、一輪挿しをつくっていきます。
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さらさらと優しい手触りのヘゲ。
「竹細工づくりは、竹を切り出すところから始まります」
ヘゲを手にした千葉さんが、そう話してくれました。
材料となる“しの竹”は、町内に自生しており、
冬の間に職人さんが自ら切り出します。
切り取った一年分の“しの竹”を、春までに自然乾燥させ、
湿気の無いところで保管します。
その後、水につけて柔らかくし、竹を割り、
皮を剥いてできたものが、今手にしているヘゲ。
このような下準備を経て、やっと竹細工づくりをすることができます。
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「竹が無ければ、編むこともできない」
素材あってこその竹細工なのだと、噛み締めます。
一本ずつ、こつこつと。
「編み方は、とてもシンプルです。
一本ずつ交互にヘゲを重ねていきます」
そう言って、手元を見ずに
すいすいと編み進めていく千葉さん。
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「目で見なくても、指が見ていますので」まさに職人のなせる技です。
私も編み始めると、これが思った以上に難しい。
ヘゲがスッと入らず、曲がってしまったり、ねじれてしまいます。
始めのうちは、一本一本重なっていくのを確認しながら
手の力を抜いて編むことがコツだと教えてもらいます。
少しずつ感覚を掴み、リズムができると、思わず没頭。
雑念がフッと消える、この感覚が気持ち良いのです。
千葉さんに手直しや仕上げをしてもらい、ついに完成!
一本一本時間をかけて編み上げた、世界に一つだけの一輪挿しです。
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まるっとした形がかわいい一輪挿し。形が似ていることから“みのむし”とも呼ばれています。
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ドライフラワーなどを入れて、お部屋のインテリアとしても楽しめます。
つなぐこと、作り続けること。
竹細工の技術を伝承することを目的に、昭和23年に設立された竹細工指導所。
その後、しの竹細工の魅力発信と、竹細工の後継者を育てる拠点として、
製品の展示と指導所が併設された「大崎市竹工芸館」になりました。
「若手のつくり手を増やし、製品一つ一つの質を
高めていくことが今後の目標です。
あとは、もっと自分の作りたいものを作っていきたいですね」
凛とした表情で話す千葉さん。
努力を惜しまず、常に挑戦し続ける姿がとても素敵です。
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他の職員の方にも作り方のアドバイスをする千葉さん。
作り続ける人がいるから、伝統が受け継がれている。
地域に根付いた知恵や志を、
次につないでいくことの大切さを知りました。
伝統の技が光る“しの竹細工”を、
是非あなたの目で見て、触って、確かめてください。
(撮影: 足利文香)
INFORMATION
大崎市 竹工芸館
- 住所
- 宮城県大崎市岩出山字ニノ構115
- 電話番号
- 0229-73-1850
- 営業時間
- 9:00〜17:00
※体験メニューはご希望日の1週間前までに
お電話でご予約をお願いいたします。
※体験は9時30分以降の時間帯で受け付けます。
- 料金・所要時間
- ・竹とんぼ300円(税込) 30分〜
・一輪挿し2,000円(税込) 2時間〜
・フォトフレーム2,000円(税込) 3時間〜
・花器2,500円(税込) 半日〜
・目かご2,500円(税込) 半日〜
※小学5年生〜中学3年生は半額料金になります。
※所要時間は1〜3名までのおおよその目安です。
※体験時間が午前と午後をまたぐ場合、お昼休憩(1時間)が必要
となるため、所要時間に+1時間が終了時間(目安)となります。
- 定休日
- 水曜日、年末年始
- 駐車場
- 有
- お子さま対応
- 対象は小学5年生から
※小学4年生以下で希望される場合は、親子での体験となり
一般料金になります。
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